婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

3 大使館

 馬車に十日ほど揺られて、わたしとヴェルはついにローラント王国へ辿り着いた。

 今は王都の通りをゆっくりと馬車で移動している。
 活気だった街の様子を窓越しに眺めるだけで、この国がとっても豊かなのだと分かる。同じ王都でもアングレラス王国とは大違いだわ。

 ローラント王国はアングラレス王国よりも大国で、大陸では帝国に次ぐ大きさだ。資源も豊富、温暖な気候で農作物もよく育ち、近年では工業化も進んで……まぁ平たく言えばお金持ちの国、なのよね。

 そんな国がなぜ目立った資源もない小国のアングラレスを狙うのかしら? 彼らも帝国化を目指して?
 考えれば考えるほど戦争の理由が分からなくて不可思議だけど、アンドレイ様がそうおっしゃるのなら彼らが近い未来に侵略しに来るのは間違いないのよね。だって、王子である彼の情報筋なんですもの。

 だから、今はわたしに出来ることをやらなくちゃ!


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