婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

37 アンドレイ様との再会

 昨日は両親に啖呵を切ったけど、今日は大人しくこれまで通りのアンドレイ様好みのドレスを身に纏った。
 もちろん彼を油断させるためだ。
 彼から見て「いつものオディール」でなければならない。これは十二分に気を付けるようにとレイからも釘を刺されている。もし勘付かれたら計画はそこでお終いだからだ。

 だから今日のためにパステルカラーの可憐な雰囲気のドレスを用意していた。
 せめて少しでも自分に似合うように、色は比較的わたしに似合う薄紫で、レースやリボンも控え目の服にした。これだったら少しはまだ良く見えるでしょう。
 
 お母様は昨日の件が尾を引いているようで、今朝はわざわざ部屋まで支度の様子を見にやって来た。
 でも、わたしが可愛いパステルカラーのドレスを準備していたら「あら、いいじゃない。もう昨日みたいな我儘を言っちゃ駄目よ」って、満足して帰って行ったわ。

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