婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜



 式典はトラブルも起こらず滞りなく終わった。
 このあとは夜のパーティーまで自由時間だ。貴族たちは王宮の開かれた庭で交流したり部屋で休んだり、街へ遊びに行ったり各々が好きに過ごす。

 令嬢たちが王太子殿下に熱い視線を送っていたけど、レイは「疲れたから夜まで部屋でゆっくりしたい」と戻ることになった。
 わたしとアンドレイ様は王太子殿下を部屋まで送ってから、解散した。わたしはパーティーの最終確認へ向かって、アンドレイ様は側近たちとなにやら打ち合わせのようだ。


「仕事が全て済んだらドレスを着替えるわ。準備をしておいてちょうだい」と、わたしは侍女に指示をする。

 今夜のために用意したとっておきのドレスだ。
 決別のドレス。あるいは未来へのドレス。
 ドレスはレディーの鎧だと、レイが言っていた。だから、決戦のときこそ、最高の鎧を纏いたいと思うわ。
< 262 / 303 >

この作品をシェア

pagetop