婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

46 エピローグ 〜恋人たち〜

 アンドレイ王子とナージャ子爵令嬢はすぐさま近衛兵たちに拘束されて、地下牢に放り込まれた。
 そこは王族用の貴賓室のような美しい監獄ではなく、低い身分の者が入る不衛生な檻だ。常に湿って埃まみれで、悪臭漂う最悪の場所である。

 王子の方はのべつ幕なし不平不満を言っていたけど、子爵令嬢の方は「そういう運命なのよ、あたしたち……」と、渋々だけど大人しく従っていたらしい。意外に肝が据わっているのね……と、ちょっと感心した。
 ま、それくらい図太くないと高位貴族から王子を略奪しようとは思わないかしら?

 アンドレイ王子は廃嫡――立太子の儀は中止、王位継承権も剥奪、臣籍降下で貴族籍も与えられずに平民落ち。
 王位継承権は王弟である公爵家へ移り、いずれは現当主のまだ幼い嫡子が立太子することになるそうだ。

 ナージャ子爵家の行っている黒い事業も白日の下に晒されて、お家取り潰しで一族皆平民に。賠償金の返済のために各々が過酷な労働を強いられていた。
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