婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜



 わたしは早速ガブリエラさんに鉱山の地図が完成したことを伝えた。そして彼女が秘密裏にスカイヨン伯爵に連絡をしてくれて、数日後にわたしは鉱山を去ることになった。
 オディオの事情を知った遠い親戚の大商人が借金の肩代わりをしてくれたので、もう鉱山で働かなくてもよくなった……と、いう設定だ。

 最終日、坑夫たちがささやかなお別れ会を開いてくれた。
 とても嬉しかったし宴会は楽しかったけど、彼らにも嘘をついてる事実はまたわたしの胸を抉るのだった。

 レイはもう少し鉱山に残るらしい。変な人でいっぱい振り回されたけど、別れるのはちょっとだけ名残惜しかった。

 最後の夜、わたしたちはたくさん話をした。
 ここに来て良かった。皆に出会えて良かった。そう、心底思った。



 アデュー、ダイヤモンド鉱山。
 アデュー、レイ。

 もう二度と会うことはないでしょう。

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