【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
6、星祭り


『星祭り』—————*


 決して交わるはずの無かった若い神々に、“恋心と性愛の神「フルラ」”が悪戯(いたずら)を仕掛けた。
 曖昧となった昼と夜の境で出逢い恋に落ちたのが、“夕星の神「ラウエル」”と“暁の女神「ガイア」”だ。

 愛息子を不憫に思った夜の女神「リュクシール」は、一年にたった一夜だけ「ラウエル」と「ガイア」の逢瀬を許す。

 それが——昼と夜の境界が曖昧になる『星祭り』の日だとされている。



 *



 ヒュッ———

 数羽の鳥たちが驚いて、鉄柵からバタバタと飛び去った。
 風を斬る軽やかな音に続いて、ドッ! 鈍い音が耳朶を打つ。

「おお〜〜っ」
 
 三発目の矢を小さな的に命中させたジルベルトが目をすがめた。
 広場の遊技場に集まった女たち——ジルベルトの隣で固唾を飲んで見ていたマリアを含めて——の黄色い声とともに、周囲からパチパチと拍手が湧き起こる。

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