【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
9、ただ、あなただけを見て
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 祝賀式典、晩餐会、舞踏会と三日間に及ぶ諸国併合記念式典の準備は、つつがなく進められた。
 ジルベルトは相変わらず雑務や書類の攻略のために眠れぬ夜を過ごし、マリアはジル猫と一緒に自室で眠った。

 会えない夜が続くのは寂しかったけれど、ジルベルトからは毎日のように愛らしい花束と労りの言葉を添えたカードが届けられ、寂しさで冷えた心をあたためてくれる。

 マリアの部屋はいつの間にかちょとした花畑のようになった。
(それを見たアーニャは眉をひそめ、自分なら花なんかよりも宝石やドレスが欲しいと言った。)

 あの怒涛のような茶会の日のあと、アルフォンス大公夫人のはからいで、幾度となく後宮への招待を受けたりもした。
 最初はお互いに戸惑っていたマリアと後宮の淑女たちも次第に打ち解けはじめ、マリアは『後宮』という『社交の場』に堂々と馴染んでいるように見えた。

 リズロッテ王女はと言えば——。
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