花婿が差し替えられました
「クロード…」
アリスが両腕を広げ、クロードの首に回した。
クロードも固くアリスを抱きしめる。
「アリス…、愛してるよ…」
クロードは少しアリスを離すと、その唇に吸い寄せられるようにキスをした。
「ん…っ」
アリスがキュッとクロードの背中辺りを掴む。
その仕草がまた可愛くて、クロードは深く口づけた。
今までのキスとは違う、深く、互いを探り合うようなキスだ。

しばらくアリスの唇を堪能したクロードは、この後どうすべきなのか考えを巡らせた。
これ以上くっついていたら歯止めが効かなくなるのは必然だ。
しかし想いか通じ合ってすぐにがっつくのも男としてどうかと思う。

名残惜しくも唇を離せば、アリスはうっとりとクロードを見上げている。
(いいのか?このまま進んでも⁈)
両想いになったのだし元々夫婦なのだし、二人を隔てるものは何もない…はず。

(いざ、夫婦の寝室へ!)
やっとあの初夜のやり直しが出来るかと思った瞬間、クロードの目に、チラリと白いものが掠めた。
アリスの机の上に置いてある白い封筒だ。
こんな時にそんなものが気になるのもおかしな話だが、クロードは何故か気になった。
剣の才に恵まれているクロードは、やたらと動体視力も良いのだ。

「離縁…、申請…?」
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