花婿が差し替えられました
「私、クロードの奥さんと色々話してみたかったのよね」
「私と…、ですか?」
「ほら、来年私が隣国に嫁ぐ時、クロードは私に付いてくるでしょう?貴女はどうする気なのかと思って。だって貴女だって女伯爵としてのお仕事があるでしょうし。それに、クロード自身は貴女をどうするつもりなのかしら」
「はぁ…」
「ほら、クロードがいない方が言いやすいことだってあるでしょう?」
意味ありげに含み笑いするルイーズに、アリスは苦笑で返した。

「夫のことは私より…、王女様の方が良くご存知かもしれません」
「そうね。私の方がずっと長く一緒にいるもの。でも最近クロードったら自宅へ帰ることが多くなったのよね。前はいつも宿舎に寝泊まりしていたから、呼び出せばすぐに駆けつけて来たのに」
そう言うとルイーズは横目でアリスを流し見た。
何やら愚痴を言いはじめたルイーズに、アリスは少し面倒臭くなってきた。
いや、最初から居心地は悪かったけれど、正直もう色々放ってここから出て行きたい。
そんなアリスの代わりに、ゾフィーが口を挟んでくれる。
「そうね、それは良い傾向だわ。休みの日も王宮にいるのでは、クロードだって身も心も休まらないでしょうから」
しかしゾフィーの言葉はかえってルイーズの気持ちを煽ったようだ。

「自宅だからって休まるかしら。ねぇ、家にいる時クロードは何してるの?まさか、伯爵家の手伝いなんてさせてないわよね?夫婦で、いつもどんな話をしてるのかしら?私はクロードの主人なのだから教えてくれてもいいでしょう?」
「いい加減になさいルイーズ。夫婦の会話を聞くなんて下品よ」
ゾフィーに嗜められたルイーズは、目を吊り上げてふいっと顔をそらした。
王女は一体アリスに何をしたいのだろうか。
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