ー野に咲く花の冒険譚ー

3章 心境



1週間目にして,1つの村につく。

ざわざわと騒がしく,落ち着きがない。



「ここで何が起きてるって?」

「手当たり次第人を食らう花つきの子供がいるらしい。命では討伐だが,俺は助けられるなら近くの施設へそうしたい」



花つきとは,僕らフラワー病の罹患者のこと。

周りはざわめいたが,僕はいたって冷静だった。

タルトはどうあがいても冷徹にはなり切れない。

花つきだって人間だ。

感染の心配もない,見た目は普通の人間な僕が近くにいるからよっぽどなのだと思う。



「僕も同じ考えだ。罹患している僕なら,子供一人くらい手を引き連れていける。地図は頭にはいっているから。幸い辺りは森だらけの,村じゃ既に何週間も留まっている花つきだからこれ以上の感染を恐れるのはタルト達だけだ。僕が先行する」



ココラティエが迷うような声をあげた。

僕が振り返り見つめると,今度は困った顔になる。

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