真実の愛は嘘で守って・・・。
「じゃあ、俺も戻るよ」

心を落ち着けるためにも、今は早く1人になりたい。

そう思っていたのに「待って」と引き止められてしまった。

「何?」

「血、付いてる。口に」

優李に指摘され、さっきのことで無意識に唇を噛んでしまっていたのだと知る。

「あっ、さっき噛んだから・・・」

「もったいない」

そう言って優李は俺の腕を引っ張り、唇に付いた血をぺろりと舐めとった。

「ちょっ、優李?!」

「やっぱ、楓の血は美味しい。ねぇ、琉偉にも言われたし今ちょっと血、もらってもいい?」

優李はズルい。

ただの従者だと言っておきながら、それ以上のことをしてくる。
そして馬鹿な俺はそれに喜んで、血を彼女に捧げる。

「いいよ、好きなだけあげる」
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