オルガンイズムにあがく鳥
「やれやれだな」

こんな重要なことを封書一枚で行う神経は、いったいどのようなスパイラルを描いているのだろうか。

朝起きてメイドロボから受け取った封書の内容に、紫苑は頭を掻く。

「大変名誉ナコトニゴザイマス。ゴ主人様、オメデトウゴザイマス」

メイドロボに褒められても嬉しくない。

まあ、目を摘出されるといったところで、まったく見えなくなるわけではなく、記載の通り、義眼が与えられるらしい。

一応、義眼とのシンクロ検査などもあるために、目を摘出されるのは明日、明後日の話でない。

「つっても、目だぞ、目……。普通もう少しあるだろ? 封書一通とかじゃなくて、もっとこうさあ……」

「一応、相手にショックを与えないための最大の配慮みたいよ」

声は突然、キッチンから聞こえた。

聞き慣れてしまった声。

見慣れてしまった黒髪。

相変わらずのジーパンにティーシャツというラフな格好。

エヴァだった。
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