ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
 暗幕が張られていて中はとても暗い。チャコは怖くて、恵と由香の腕をつかんで歩いていた。


「無理、もう無理! 戻る、入口に戻ろうよ」
「それはだめだって。大丈夫だよ。そんな怖いもの出ないって」


 あちこちに不気味な人形が置かれている。人形に監視されているような気がしてとても気持ちが悪い。びくびくしながら進んでいたら、ロッカーを開けるように指示が書いてあった。

 恵が指示通りにロッカーを開けようと手を伸ばす。ゆっくりとロッカーの扉が開かれていく。半分くらい開くと何かが見えてきた。それにびくびくと怯えていたら、突然ロッカーの中から人が倒れてきて、チャコは声にならない絶叫を上げた。そのまま二人にしがみついて強く目をつむる。


「チャコ。チャコ、大丈夫だって。これ人体模型だよ」


 言われて目を開けて見れば、確かに人体模型だった。だが、そもそも人体模型自体が怖いから、恐怖心はちっとも減らない。


「無理無理無理。目ーつむってるから、二人が連れてってよ」
「目開けてないと危ないよ?」
「いやだ。もう見たくない」
「しょうがないなー。由香、行こう」
「うん。チャコ足元気をつけてね?」


 チャコは二人に連れられて、なんとか出口までたどり着いた。

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