ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「で、チャコはこの前何を急いでたの?」


 日曜日、チャコと恵と由香は大型ショッピングモールでぶらぶらとショッピング、いやウィンドウショッピングを楽しんだあと、同施設内のレストランで昼食を取っていた。そこで恵が先ほどの質問を投げたのだ。学校の話をしていたはずなのに、突然話が変わったので一瞬チャコは何のことだかわからなかったが、ワンテンポ遅れて質問の意味を理解すると、チャコはちゃんとした説明もなしにそのままを答えた。


「あー、あれね。ちょっと天使を探してた」
「「……」」


 恵と由香から痛い視線が送られてくる。


「頭打った? それともなんかヤバい宗教にでも入った?」
「何言ってるの恵……」
「いや、何言ってるのはこっちの台詞なんだけど……」
「チャコ、たぶん言葉足らずだと思う。天使ってなんのこと? 本当に天使がいると思って探してるの?」


 由香に諭されて、天使が何か伝わっていないのだとチャコは理解した。


「あ、天使だけど天使じゃないよ」
「うん、つまり?」


 由香は優しく促してくれる。


「天使みたいな美少年がいたの! 天使の微笑みがヤバくてね、もう死んじゃうかと思った」
「そういうこと。由香のおかげでようやくわかったわ、ありがとう」
「どういたしまして。チャコ、それでその天使さんには会えたの?」


 由香からのその質問にチャコは興奮して答えた。


「うん! 金曜にね、会えたよ! でもさー、名前聞いても教えてくれないんだよ。いついるのって聞いてもそれも答えてくれないし。だからいつ会えるかわからないんだよ……」


 チャコはそう述べるとしゅんと項垂れた。
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