ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「最初にチャコに会ったとき、なぜか微妙に距離を開けて様子を窺ってきただろ? 随分かわいい行動する中学生だなーって思ったんだ」
「ふふ。中学生じゃないって」


 そんなこともあったなと懐かしくなる。あのとき中学生と思われたのがチャコはちょっと気に食わなかったのだ。


「中学生に見えたんだよ。たぶん、高校生に見えてたらきっと無視してた。あのころは同じ年の人間が皆恐ろしいものに見えてたから」


 声のことでからかわれて、余程つらい思いをしたのだろう。


「でも、チャコはなんだか純真に見えたっていうか、子供っぽい感じだったから、あまり気にならなかった」
「子供っぽいって嬉しくない……」
「ははっ。いい意味で言ってるんだよ。まあ、でも、声を出すつもりはなかったし、どうせすぐに飽きてどっか行くだろうって思ってたんだ」


 確かに初めはあまりこちらに構ってくれるような雰囲気ではなかった。


「でも、なぜか懐いてきて、俺がしゃべらないのもあんまり気にしてるふうじゃなくて、だんだんこの子の隣は居心地がいいなって思うようになった」
「居心地よかったの?」
「ああ、すごく。それにギターは好きだったから、それを褒めてもらえるのは純粋に嬉しかったし、それを求めてくれるんなら、応えてやりたいなとも思った」
「ジャン、いっぱい聴かせてくれたもんね。嬉しかった」
「そうやって喜んでくれるから、ますます応えてやりたくなるんだよ。まあ、かわいいファンができたなくらいに思ってたんだけど、すぐにチャコに対する見方は変わった。初めてチャコの歌を聴いたとき、本当に驚いたんだ。こんなにきれいな歌声を出す人がいるなんて信じられないって思った」
「ええ?」


 チャコの歌を気に入ってくれているのはわかっていたが、そこまで評価してくれているなんて驚きだ。

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