ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
 しげさんに促されて座ると、ジャンはこれまでのことを静かに語って聞かせた。


「そうか。つらかったな。よく頑張ったな」


 しげさんはあのころみたいにジャンの頭を強く撫でていた。ジャンは何も言わずにそれを受け入れている。


「あのころは本当にありがとうございました。チャコの存在もそうだけど、この場所も俺を救ってくれました。感謝しています」
「お前がそんなこと言うなんてなー。ったく、泣かせるんじゃねぇよ。俺らもぼうずのこと好きだからいいんだよ。いつ来たっていいんだからな」
「はい。ありがとうございます」


 優しくて温かい空気が流れた。そのあとは自然と思い出話に花が咲いていた。
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