ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「千夜子、おいで?」


 チャコの名前を言うときは、イチャイチャしようの合図だ。最初は恥ずかしくて、顔を赤くしてはガチガチに固まっていたチャコだが、毎日のように与えられれば、自然とチャコも甘い空気を出せるようになっていった。


「千夜子、名前呼んで?」
「悠輝」


 名前呼びが二人のスイッチだ。一気に甘い空気が満ちる。


「うん。千夜子、好きだ」
「悠輝。好き。大好き」
「千夜子、もっとこっちおいで?」


 すでに体をくっつけてはいたが、よりぴったりと密着するようチャコはジャンに抱きついた。


「千夜子。はあー、かわいい。本当たまんねぇ」
「悠輝、好き」


 好きが溢れて止まらない。


「そんなに好き?」
「大好き。悠輝のことも、悠輝が弾くギターも」
「ははっ。お前は本当に俺のギター好きだな」
「うん、大好きだよ。ねぇ、弾いて? 聴きたい」


 チャコは今でもこうしてジャンにギターの演奏をねだる。どれだけ聴いても飽きることはない。聴けば聴くほど好きになっていく。


「しゃーねーなー。何聴きたい?」
「うーん。あの曲!」
「あの曲?」
「あの曲。だって曲名教えてくれないもん」
「ははっ。わかったよ。あの曲な。俺が弾かないと聴けないもんな?」


 チャコはもうとっくの昔にその曲名を知っている。ジャンの演奏に頼らずともその曲を聴けるのだ。でも、チャコはわざと知らないふりをする。だって、チャコが聴きたいのはジャンのギターの音なのだから。


「うん。ジャンが弾いてくれなきゃ聴けないもん。だからね、ジャンのギターで聴かせて?」



~完~
< 185 / 185 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:12

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
大好きだった許婚に裏切られた円香 結婚に向けて幸せ絶頂のときを過ごしていたはずなのに、 彼は妹と浮気に走っていた 思い描いていた未来をなくし、円香は生き方さえわからなくなる ひどく塞ぎ込み、新しい未来も描けない そんな円香を救ってくれたのは、 冷酷と噂される妹の元婚約者・彰史であった 冷たいはずの男の大きな愛に導かれ、 新たな愛と夢を見つけるラブストーリー ※2024/05/10 完結 ※別作品にて番外編を公開中
愛なき政略結婚は愛のはじまりでした

総文字数/103,707

恋愛(純愛)177ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
雅は大企業の御曹司・清隆と政略結婚をする 二人の間に愛はない 清隆に干渉することは許されず、 雅がすべきはただ妻としての役割を果たすことだけ けれど、結婚生活を続けるうちに二人の関係は少しずつ変わっていって…… 愛を知らない二人が初めての愛を知る 政略結婚から始まるラブストーリー ※2023/12/30 完結 ※別作品にて番外編を公開中
表紙を見る 表紙を閉じる
「君が理想の妻でいてくれるなら、これからも最大限の愛をあげるよ」「偽りの愛なんて欲しくない……」 「ごめん。間違いだった。抱くべきじゃなかった」「……それならどうして抱いたのっ」 「……僕は、美鈴が幸せならそれでいい」「ずっとあなたが好きだった」 ――――――――――― エリート商社マンの千博と結婚した美鈴 千博は出世頭で、見目はよく、性格も優しい そんな誰もが羨む彼に溺愛され、幸せな日々を送っていたはずだった しかし、ある時千博の本心を偶然耳にしてしまう 美鈴に愛はないと 千博は理想の人生を歩むために打算で美鈴と結婚していた 偽りの愛を向けられていたと知った美鈴は思い悩む 表面上は愛されていても、嘘の愛は到底受け入れられない けれど、簡単に切り捨てることもできず…… 美鈴が取った行動はまさかの離婚前提の交際だった!? 果たして離婚に向けて嘘偽りのない交際を始めた美鈴と千博に待ち受ける結末とは―― ※2025/03/02 完結 ※後日談を別作品にて公開中

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop