ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
そのまましばらく顔を背けていれば、腕をつんつんとつつかれた。ジャンのほうを見てみれば、チャコを困ったような顔で見つめている。そして、ゆっくり頭を下げてきた。謝罪をしているらしい。
「……じゃあ、リクエストに応えてくれたら許す」
チャコの言葉にジャンはパーっと嬉しそうな表情を浮かべた。つられてチャコも笑ってしまう。
「最初に会ったときの曲が聴きたい。あの、思わず泣いちゃったやつ」
ジャンは少し考えるようにしてから、チャコのリクエスト通りの曲を弾いてくれた。覚えていたらしい。チャコは目を閉じてジャンの演奏に耳を傾けた。やはりこの曲を聴くとなぜか胸が締めつけられる。
「……やっぱりこの曲好き。ありがとう、ジャン」
曲が終わって、チャコが素直に礼を言えば、ジャンはまた天使の微笑みを浮かべてきた。それが嬉しくてチャコも笑顔になる。そのままにこにことしていれば、ジャンがこの間と同じようにチャコの唇を指でトントンと叩いてきた。
「っ。それ心臓に悪いんだって……」
チャコがそう言って唇を尖らせれば、その唇をまた叩かれる。
「もうっ……またきらきら星歌うの? 今日は別のにしようよ。でも、ジャンの弾く曲はよく知らないんだよね」
小さくそうこぼせば、ジャンは少しだけ考えるようにしてから、ある曲の最後のフレーズを弾いてみせた。そして、チャコのほうを向いて首を傾げてくる。
「……知ってる。もみじでしょ? おばあちゃんとよく歌ってた。でも、この曲歌うとなんかちょっと寂しくなって、いっつもおばあちゃんの手握ってたんだよね」
チャコがそう漏らせば、ジャンがそっと手を握ってきた。まさかそんなことされるとは思わなくて、チャコは当然驚いたけれど、でも昔のことが思いだされて、なんだか温かい気持ちにもなった。
「今はもう大丈夫だよ。ちっちゃいころの話だって。この曲歌う?」
ジャンは嬉しそうに笑ってギターを構えた。もう一度最後のワンフレーズが流れてきたから、それに続けてチャコは歌う。柔らかいギターの音に重ねて歌うと切ないような温かいような不思議な気持ちになってくる。二人の音が合わさるのが心地よくて、また目をつむってその音楽に酔いしれた。
「……じゃあ、リクエストに応えてくれたら許す」
チャコの言葉にジャンはパーっと嬉しそうな表情を浮かべた。つられてチャコも笑ってしまう。
「最初に会ったときの曲が聴きたい。あの、思わず泣いちゃったやつ」
ジャンは少し考えるようにしてから、チャコのリクエスト通りの曲を弾いてくれた。覚えていたらしい。チャコは目を閉じてジャンの演奏に耳を傾けた。やはりこの曲を聴くとなぜか胸が締めつけられる。
「……やっぱりこの曲好き。ありがとう、ジャン」
曲が終わって、チャコが素直に礼を言えば、ジャンはまた天使の微笑みを浮かべてきた。それが嬉しくてチャコも笑顔になる。そのままにこにことしていれば、ジャンがこの間と同じようにチャコの唇を指でトントンと叩いてきた。
「っ。それ心臓に悪いんだって……」
チャコがそう言って唇を尖らせれば、その唇をまた叩かれる。
「もうっ……またきらきら星歌うの? 今日は別のにしようよ。でも、ジャンの弾く曲はよく知らないんだよね」
小さくそうこぼせば、ジャンは少しだけ考えるようにしてから、ある曲の最後のフレーズを弾いてみせた。そして、チャコのほうを向いて首を傾げてくる。
「……知ってる。もみじでしょ? おばあちゃんとよく歌ってた。でも、この曲歌うとなんかちょっと寂しくなって、いっつもおばあちゃんの手握ってたんだよね」
チャコがそう漏らせば、ジャンがそっと手を握ってきた。まさかそんなことされるとは思わなくて、チャコは当然驚いたけれど、でも昔のことが思いだされて、なんだか温かい気持ちにもなった。
「今はもう大丈夫だよ。ちっちゃいころの話だって。この曲歌う?」
ジャンは嬉しそうに笑ってギターを構えた。もう一度最後のワンフレーズが流れてきたから、それに続けてチャコは歌う。柔らかいギターの音に重ねて歌うと切ないような温かいような不思議な気持ちになってくる。二人の音が合わさるのが心地よくて、また目をつむってその音楽に酔いしれた。