冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
日奈子と宗一郎
ホテル九条東京のエントランスホールは、一階から四階の高さまでの広い吹き抜けの空間だ。
ワインレッド色の絨毯が敷き詰められた二階まで続く大きな階段と、巨大なシャンデリア、その下に有名な華道家が生けた二メートルほどのフラワーアレンジメントが飾られている。
鈴木日奈子(すずきひなこ)は、ライトブラウンの制服に身を包み、背筋を伸ばしてフロントに立っていた。
時刻は午後九時、この時間は宿泊客たちの人影もまばらで、ラウンジに何組かのグループとがいるだけである。
その静かな中をエレベーターホールの方向からカツカツと靴音を響かせて、初老の外国人男性がこちらに向かってやってくる。日奈子は口元に笑みを浮かべて頭を下げた。
『失礼』
男性がフロントに手を置いて英語で話しかけてきた。
『夕食に出たいんだが、このあたりで天ぷらを食べられる店はあるかな?』
日奈子は頷いて、カウンターの下にストックしてあるパンフレットを広げた。この辺りの簡単な地図と飲食店が載っている。
『天ぷらでしたら、こちらとこちらのお店が歩いて行ける距離にあります』
『なるほど、君のおすすめは?』
『どちらも味は間違いないですが、こちらのお店は日本酒の珍しい銘柄が揃っていますので、お酒を飲まれるならおすすめです』
男性が微笑んで頷いた。
『なら、こちらの店に行ってみよう。ありがとう』
『いってらっしゃいませ』
ワインレッド色の絨毯が敷き詰められた二階まで続く大きな階段と、巨大なシャンデリア、その下に有名な華道家が生けた二メートルほどのフラワーアレンジメントが飾られている。
鈴木日奈子(すずきひなこ)は、ライトブラウンの制服に身を包み、背筋を伸ばしてフロントに立っていた。
時刻は午後九時、この時間は宿泊客たちの人影もまばらで、ラウンジに何組かのグループとがいるだけである。
その静かな中をエレベーターホールの方向からカツカツと靴音を響かせて、初老の外国人男性がこちらに向かってやってくる。日奈子は口元に笑みを浮かべて頭を下げた。
『失礼』
男性がフロントに手を置いて英語で話しかけてきた。
『夕食に出たいんだが、このあたりで天ぷらを食べられる店はあるかな?』
日奈子は頷いて、カウンターの下にストックしてあるパンフレットを広げた。この辺りの簡単な地図と飲食店が載っている。
『天ぷらでしたら、こちらとこちらのお店が歩いて行ける距離にあります』
『なるほど、君のおすすめは?』
『どちらも味は間違いないですが、こちらのお店は日本酒の珍しい銘柄が揃っていますので、お酒を飲まれるならおすすめです』
男性が微笑んで頷いた。
『なら、こちらの店に行ってみよう。ありがとう』
『いってらっしゃいませ』
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