冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
そしてなにかをぶつけるような荒々しい動きで日奈子の中に入り込む。

「ん、ん、んっ……!」
 
大きな手がパジャマ代わりのTシャツの上を這い回る。彼の吐息と、その感覚に日奈子の体温が一気に上昇する。

どうしてそうなったのか、わからないままに日奈子はただそれに翻弄され続ける。
 
ようやく唇が解放された頃には荒い息を吐いてベッドにくたりとなっている。
彼によってつけられた火が身体の中で燻っているのを感じながら。
 
至近距離にある彼の瞳が射抜くように見つめている。獲物に食らいつく直前の肉食獣のよう目をしたこんな彼ははじめてだ。

「日奈子、俺は先に警告した。……今日はもう優しくできない」
 
乱暴な言葉と、鋭い視線。
 
ぞくぞくするほど怖いけれど、同時にそれを、ひどく欲している自分がいる。
 
——この彼に、今すぐ食べられてしまいたい。
——心も身体も彼の色に染め上げて、なにもかも全部彼のものにしてほしい。

「や、優しくなくていい。私、宗くんが好きなの。宗くんのやり方で、私を宗くんのものにしてほしい」
 
心の奥底から湧き起こる自分自身の欲求を、包み隠さず口にすると、宗一郎が苦しげに顔を歪めた。咎めるように日奈子を見て、Tシャツを脱ぎ捨てた。
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