猛虎の襲撃から、逃れられません!

彼氏がいても、ご飯くらい平気で一緒に食べる人もいるのは分かってる。
『友達』『同級生』『仲間』そういった類の位置づけで。

それでも、やっぱり気が進まなくて。

将来に向けてこういう性格だと不利だってことも分かってるんだけど。
長年抱えて来た劣等感は、そう簡単には覆らない。

「いっそのこと、学生結婚しちゃえばいいよ」
「え?」
「『彼氏』と違って、『旦那』なら明白な違いもあるしさ。しーちゃんの性格だと、それくらいの踏ん切りがないと、対人と男性恐怖症治んないよ」
「っ……」

『付き合うきっかけは何だったの?』と聞かれて、彼との出会いを園ちゃんには話した。
だから、プロポーズのことも。
プロポーズのプロポーズのことも知ってるからだと思うけど。

「さすがに…」
「お互いに忙しくしてるわけだし、今とそんなにも変わらないと思うけど」
「……」
「まぁ、早くても、彼が高校を卒業したら……の話だけどね」


オリンピックでメダルを取ったら、将来のことをちゃんと考えるという約束はしたけど。
オリンピックに出場するための気合入れというか。
あまり深く考えてなかった。

「結婚したら、何が変わるんだろう」
「苗字?あとは、法的な義務が発生するとか」
「……」

そうだよね。
家族になるんだもんね。

「あとは、Hの回数が増えるとか?」
「ぶっっ……っ…」
「大丈夫?」

飲みかけたお茶を拭き溢しそうになった。

そうか。
そうだよね。
そういうのも妻の務めだよね。

そもそも私、まだ『彼女』の務めも果たせてないんだけど。

「こういうこと聞いていいのか分からないけど、園ちゃんは今の彼氏さんと、……どれくらいでしたの?」
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