猛虎の襲撃から、逃れられません!
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「あと1教科~~っ」
「午後に英語って、眠くなるよねぇ」
「お腹空いたぁ!早く食堂行こっ」

4時間目の数学のテストが終わり、雫たちはスマホとお財布を手にして教室を後にした。

テストは5時間目まであり、特進コースは英語が5時間目。
昼食をとるために1階にあるテラス(学食)へと向かう。

北校舎、南校舎それぞれにテラスは完備され、北校舎のメニューはアスリート向け。
一方、南校舎のメニューはミニセットなども豊富で、小食な生徒に合わせたもので、セレブ校と言われる所以だ。

「あそこの席取っとくね」
「さっちゃん、ありがと」

姉御肌で行動力のある咲良は、空いてる席目指してテラス内を闊歩する。
ちとせはマイペースな性格で、サラダにかけるドレッシング選びに手こずっている。

「今日は和風にしようかな」

やっと決まったようだ。
雫はちとせが終わるのを待って、咲良がいるテーブルへと向かう。

今日のパスタセットは、ミートソースのパスタに温野菜のサラダ、それとコンソメスープだ。

「そう言えば、昨日はイケメン王子に出会えたの?」
「ん゛っ……」
「雫、大丈夫?ほら、お水飲んで」

口の中に入れたパスタが喉に詰まりそうになった。

『イケメン王子』……ねぇ。
あまりしっかりと見れなかったけれど、イケメンには違いない。
王子様とはちょっと世界観が違うけれど、怪我をさせないように咄嗟に私を守ってくれた。

「実はね……」

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