猛虎の襲撃から、逃れられません!

「あっ、津田くんだ」
「ホントだ」
「どうしたんだろう?」

校門前でだなんて約束してなかったのに、正門の所に彼ともう1人男子生徒が立っている。

「ご卒業おめでとうございますっ!」
「わぁ、ありがと~」
「ありがとうね」
「ありがと。でも、どうしたの?」
「先輩たちの写真係しようと思ってスタンバってたんす」
「ご卒業おめでとうございます」
「松永くんも朝早くから、わざわざありがとうね」

親友の松永くんも一緒に待っていてくれたようだ。

「スマホ預かりますよ」
「やったぁ!可愛く撮ってね」
「はい」
「美人にお願いね」
「了解っす」
「白目じゃなければ…」
「先輩、漫画コントみたいな」
「だって、もとが美人じゃないし、デカくて可愛くもないから、無いものは強請れないよっ」
「一番可愛く撮れる自信あるっすよっ」
「やーだーねー、朝からラブラブで」
「最後の日くらい、大目にみてやんなよ」
「そうっすよっ、先輩方の可愛い制服姿も見納めなんで」
「雫~、彼氏が媚び売ってるよ~」
「もう、さっちゃん」
「北島先輩と天野先輩のスマホは俺が撮りますね」
「よろしくね!」

いつもの光景だ。
軽いノリのさっちゃん。
ちょっと他者目線のちーちゃん。
軽快に2人の会話もあしらえる津田くん。

テラスで過ごした半年ちょっとが走馬灯のように駆け抜けてゆく。

「せんぱーい、流し目こっちにお願いしまーす」
「なっ……流し目って何?」
「いいっすね、目力あって。けど、にっこり笑って貰えると俺の腕も冴えるっす」
「っ……」
「松永くーん、あとで津田くんにヤキ入れといてね~」
「はい、了解っす」

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