Good day ! 2
第十七章 ハネムーンフライト
そして3月1日。
ハネムーンフライトの日がやって来た。

ブリーフィングを終えてフライトバッグを手にした恵真と大和は、集まった大勢の見送りの社員達に驚く。

「佐倉くん、藤崎くん。ハネムーンフライト、よろしく頼むよ」

そう声をかけてきたのは、なんと副社長だった。

ひえーと恵真が仰け反る横で、大和が涼しい顔で応える。

「はい。いつも通りお客様の安全第一で参ります」
「ああ。行ってらっしゃい」

他の社員達も口々に、行ってらっしゃい!良いフライトを!と声をかけてくれる。

「行って参ります」

二人でお辞儀をしてからシップへ向かう。

その途中も、グランドスタッフやすれ違うCA達から、
「いよいよですね、お気をつけて!」
「行ってらっしゃい!」
と笑顔で見送られ、恵真はペコペコしながらシップに乗り込んだ。

整備士から受け取ったエアクラフト・ログに大和がサインをしてシップを引き継ぐ。

CAとの合同ブリーフィングで、
「機長の佐倉です」と言う大和に続いて、恵真も「副操縦士の藤崎です」と頭を下げた。

「あら?今日は副操縦士も佐倉さんですよね?」

チーフパーサーにそう言われて、恵真はタジタジになる。

ふと気づくとCA達の胸元には、ハートの赤いバッジとハイビスカスの花が1輪飾られていた。

「本日はハネムーンフライトですからね。客室も明るい雰囲気で参りたいと思います」

にっこり笑うチーフパーサーに、大和も頷く。

「お客様にとって一生に一度のハネムーンが、思い出深く素晴らしいものとなるよう、皆で協力し合い最善を尽くしましょう」
「はい!」

心を一つにして皆で頷いた。
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