Good day ! 2
夕食は簡単なもので済ませ、念の為お風呂も湯船に浸からずシャワーだけで済ませると、恵真は早々にベッドに入る。

大和も今夜は恵真に合わせて、早めに寝ることにした。

「恵真は明日オフだったよな?乗務は明後日から?」
「はい、そうです」
「それなら指も問題ないな。明日はゆっくり過ごして」

大和は腕の中に恵真を抱き寄せてキスをする。

恵真は安心したように、可愛い笑顔をみせて大和に身体を預けた。

そんな恵真の頭を愛おしそうになでながら、大和が口を開く。

「それにしても、いつも慎重な恵真が手を滑らせるなんて。何かあったの?」
「あ、えっと、少し考え事をしていて…」

考え事?と大和は眉をひそめる。

「何を考えていたの?悩み事?」
「あの、今日SNSの動画撮影があったんです」
「ああ。広報課に頼まれてたインタビューだよね?」
「そうです。それで私はてっきり、一人で質問に答える様子を撮るのだと思っていたんですけど、倉科さんも一緒だったんです」

思いがけない話に、えっ!と大和は驚く。

「倉科さんと一緒に?」
「はい。撮影の準備をしていたら遅れて倉科さんがいらして、そのまますぐに撮影が始まったんです。なんだかよく分からないまま、倉科さんが進行してくださって。お客様からの質問に答える形だったんですけど、倉科さんのお言葉が、なんだかこう…、私は戸惑う事が多くて。どんな動画になるのか、心配になってきたんです」
「ふーん。それを思い返していて指を?」
「はい。不注意ですみませんでした」
「いや、もう謝らなくていいから」

恵真の髪をなでながら、大和は考え込む。

(恵真がこんなに気にするなんて。倉科さんは何を言ったんだ?)

すると、ふと恵真が顔を上げた。

「あの、大和さん」
「ん?何?」
「私、大和さんのことが大好きなんです」
「え、な、何?急に」

完全な不意打ちに、大和は思わず顔を赤らめる。

「今日、倉科さんとインタビューで話している時に思ったんです。私は大和さんとお話するのが1番楽しいなって。大和さんと一緒にいる時が1番幸せなの」

そう言ってふふっと笑うと、大和の胸に頬を寄せてくる。

「恵真…」

素直で可愛くて、甘えん坊で純粋で…

(まったく…。どこまで俺を翻弄するんだ?)

大和は片腕をついて少し身体を起こすと、恵真の瞳を覗き込んだ。

「恵真、俺も世界で1番恵真が好きだ。俺の幸せは恵真がそばにいてくれることだ。これからもずっと」

潤んだ瞳で恵真が頷く。

「私も。大和さんに抱きしめてもらうと、身体中に幸せが込み上げてくるの。温かくて優しくて、いつも私を守ってくれる大和さんが大好き」

ふっと微笑んだ大和は、大事そうに恵真の頬に手を添えると、たくさんの愛を込めてキスをした。
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