朝1番に福と富と寿を起こして
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朝人から少しだけ抱き締められている身体を下へと下ろしていき、朝人のソレの前にしゃがんだ。



それから朝人のスウェットに両手を掛け、困惑している朝人を見上げた。



「今より少しでも、朝人が私のことを女として見られるパワーがつくようにって、朝ご飯にその気持ちを込めちゃった。」



絶対に怒られると思ったけれど、朝人は何も言わない。
何も言わないで熱を込めた目のまま私のことを見下ろし、凄く興奮しているような顔もしている。



予想以上に私のことを女として見てくれている様子の朝人には嬉しくなってしまう。
朝人の為に作る朝ご飯の力まで利用してしまったことに少したけ反省し、でも私はどうしても朝人が良いと思ってしまうから・・・。



たぶん、私は高校生の頃から朝人のことが好きだったんだと思う。
あんなに口の悪いオジサンだった朝人のことが。



そして再会してからの“先生”のことも。
相変わらず口の悪い先生だったけど、その口から“千寿子”と私のことを呼んでくれた“先生”は、嫌な男だと思った以上に好きだとも思った。



昔1度だけ会ったことがある“彼女”のように“先生”と呼び、私なりに精一杯“先生”に近付いた。
それでも全然ダメで。
全然全然相手にしてくれなくて。
大人の女としては相手にしてくれなくて。



あんなにエッチな格好でベッドに寝ていても全然全然何でもない顔をしていて。



佐伯さんの時は全然違ったのに・・・。



佐伯さんと初めて会った時、朝人はあんなに佐伯さんから目を離せないでいたのに・・・。



佐伯さんのすぐ近くにいる私のことは何も見ることはないくらいに、佐伯さんのことだけを真っ直ぐと見ていたのに・・・。



その時のことを思い出しながら、朝ご飯の力で私のことをこんな顔で見下ろしてくれている朝人を見上げ、スウェットのズボンをゆっくりと下に下げていった。
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