吸って愛して、骨の髄まで



そうして薫子が計画を実行しようとした時、僕が止めたんだよね。



それで契約をして…と言いたいところだけど。



「本当は契約なんて無いって言ったら、薫子怒るかなぁ…」



契約だとか言って薫子を引き止めたくせに、実は契約自体が存在しないのだ。



吸血鬼と人間の間に結ばれる秘密の契約なんて、ファンタジーしか有り得ない。



それでも僕は、薫子を繋ぎ止めるのに必死で。



あの白くて綺麗な首筋に、傷をつけた。



…こんなことを知られてしまったら、嫌われてしまうに違いない。



でも、いつかは話さないといけないこと。



それを伝えるはずだったのに、玲央奈があのカフェで働いていたから薫子と変な別れ方をしてしまった。



「…明日ちゃんと話そう」



僕を吸血鬼だと知っても引かず、対等に接してくれる優しくて世界一可愛い薫子。



そんな君を、誰よりも心の底から愛しているって。



わかってもらえるまで、何度でも伝えるから。
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