クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
【新たな旅立ちに近づく不穏】
お正月明けから税理士事務所で働くことになり、私は税理士補助として、仕訳入力や資料を纏めたり、確定申告に向けて忙しくなる担当税理士の補助をしていた。

「まずは2人の補助任せるから、サポートして」
ベテランの女性税理士の安藤さんと、去年税理士になりたてで、同い年の男性、石井さん。特に石井さんは、初めて仕事する私に、凄く優しかった。

安藤さんは、私が不安な顔をしてると、テキパキと指示を出してくれる。
同じ女性として憧れる。
「僕も初めてのことばかりで、色々とご迷惑おかけすると思いますが、宜しくお願いします」
カッコいいより可愛いっていうタイプで、控えめな石井さんはとても気が利き、事あるごとに声を掛けてくれた。
「大丈夫ですか?」
「あのここは、どう考えたらいいですか?」
「ここはですね・・・」

本を取り出して、根拠を教えてくれる。広大さんみたいだ。本にマーカーが引いてある・・・
「凄いですね」
「楽しいんですよね。謎解きみたいで」
照れながら笑う石井さんに、心が和む。
私も早く色々覚えて、広大さんの力になりたい。

「私、早く石井さんのサポートが出来るように、頑張りますね。色々教えて下さい」
「何でも聞いて下さい。僕の勉強にもなりますから」
2人で笑いながら仕事を進めて、難しいけど楽しい。
覚える事が多くて忙しい毎日が続くけど、充実した日々を過ごしていた。
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