クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
金曜日の夜の事は、夢だったのかな･･･
「まだ何かあるのか？」
「い、いえ。失礼します」
なんだ･･･私の自惚れじゃない。
熱があったから、優しくしてくれただけなんだ。

席に戻り、準備をしていると、携帯にメッセージ通知が入っている。
表示されている送り主は･･･時東さん！
そこに表示されていたのは、『何でも相談しろよ』その一言だ。
『はい』その返信をして、私はドキドキした気持ちを落ち着かせるように、深呼吸をして、パソコンの電源を起ち上げた。

その日の定時を過ぎた頃、
「時東さん。話があるんだけど、会議室でいいかしら？」
武郷さんが近づいて来て、いつものように時東さんに声を掛ける。
「えぇ、いいですよ」
時東さんが席を外し、2人は会議室に入って行った。
昨日の話は本当なのかなぁ。
もしかして、表沙汰に出来ないから誤魔化したのかも･･･
モヤモヤする気持ちで仕事を始めるけど、落ち着かない。

コーヒーを入れに給茶室に行こうとした時、会議室から武郷さんが出て来た。
悔しそうな顔つきに、唇を噛んですれ違う武郷さん。
時東さんと、どんな話をしてたんだろう。

後日、理由は時東さんから教えて貰った。
もう、私に言ってくることは無いってことを。
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