クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
【深まる愛】
初めて迎えた大晦日は、広大さんに愛されながら年を越し、一緒に過ごした休みは、あっという間に終わった。

1月は、勤務日数が少ない分、余計に忙しく、時は過ぎていく。
北川さんとのランチの時間。
「今週の金曜日、営業課の人から飲み会に誘われたけど、行かない?」
「金曜日ですか・・・」
「いつ誘っても行かないしさ。彼氏のいない笠間さんを、心配してるんだよ」
北川さん。私、しっかり彼氏います。
でも、時東さんですって、言えないし・・・
「考えてみます」
「うん!一応、行くってことで、返事するね!」

嬉しそうな北川さんを見てると、断りづらい。
広大さんに聞いてみようかな。
言った時の事を想像すると・・・
『俺という彼氏がいるのに、他の男達と?』とか言われそう・・・

夜、いつものように、広大さんから電話が掛かって来た。
「営業課の子達に、飲み会に誘われたって、北川さんから聞いたけど?」
「知ってましたか・・・」
「行って来ていいよ。そういう付き合いも大切だから」
「えっ?」
「俺という彼氏がいるのに、他の男達と、とか言うとでも思ったのか?」
さすが。その通りです・・・
「じゃあ、今週の金曜日なので、終わったらそっちに行きます」
「あぁ、終わる頃、駅まで迎えに行くから」
「はいっ、連絡しますね」

「ただ碧・・・」
さっきと声のトーンが変わった。
「酔いが回るまで、飲み過ぎるなよ」
「私、お酒はすぐ酔っちゃうので、ジュースだけにします」
「それならいいけど。相手は酔ってるからな。それだけが心配だ。油断はするなよ」
「大丈夫です!」
「はぁ・・・その大丈夫が余計に心配だな」
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