クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
【広大さんが税理士に戻る日】
決算も数字が固まり、報告書もほぼ完成させた広大さん。
いよいよ、その時が近づく。

金曜日に、広大さんと一緒に車で帰ろうと、最後まで残り、仕事を終わらせた。
「そろそろ帰ろうか」
「はいっ、給茶室、片付けてきますね」
私は点検と片付けをして、戻ろうとして振り返ると、広大さんが立っていた。

「碧、声出すなよ」
すると電気を消して、私を抱きしめ、唇を貪った。
舌が絡み合うほどに激しくなるキスの嵐。ここが会社だと忘れるくらい、酔いしれる。
もう少しで声が出そうなのを我慢して、時東課長としての広大さんと、キスを堪能した。

「寂しくなったら思い出せよ。本当はこの先もしたいところだけど・・・続きは帰ってからな」
もう・・・広大さんのバカ・・・
こんなこと、仕事中に思い出したら、私、仕事出来ないですよ・・・

そして次の週、とうとうその日が来た。
「ご存じの通り、時東課長が今月末で退職しますが、諸事情で明日からはリモートでの対応となります。では、時東課長から一言」
広大さんの出勤最終日、朝のミーティングで部長が挨拶をした。
< 64 / 115 >

この作品をシェア

pagetop