クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
「今度部長と最後のリモートするから、その時挨拶するよ」
「同じ税理士さんなら、きっと話が合うと思います」
「そうだな」
まさか、それから色々絡み合う事が起るとは思いもせず、2人の会話を楽しんだ。

大倉さんは、とても話しやすい人なのに、広大さんの存在があまりにも大きかったから、どうしても皆、1歩引いている。

「やっぱり時東さんの方が良かったよね」
「時東さん戻って来てくれないかなぁ」
そんな言葉を耳にする。
私だって、戻って来て欲しい。
でも、大倉さんに広大さんを求めるのは、間違っている。
大倉さんは大倉さんなのに・・・

数日後、いつも嫌味をいう営業部の人が私の方に来て、
「ちょっと教えてよ。あっちのブースで」
声を掛けたかと思うと、ブースの方に歩いて行った。

また、システムのことか・・・
広大さんが言ってくれてから、全然来なかったくせに。
「何でしょうか」
「あの旅費精算システム、久々に使うから忘れてさ。君ももう慣れたから分かるだろ?」
ニヤける顔を見るだけで、悪寒が走る。
「どうしました?」
そこに顔を出したのは、大倉さんだった。
「システムの入力の仕方を聞いてるだけだよ」
「それなら、マニュアルも動画もサーバーにあると聞いてますが」
「時東課長と同じ事言うなよ。時東課長みたいに、うちの会社をよく知ってる人に言われるんだったらまだしも、来たばかりの課長に言われたくないね。税理士か何だか知らないけど」
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