シークレット・ブルー 〜結ばれてはいけない私たち〜

エピローグ

「碧ちゃん、おはよう」
 
 目が覚めると、すぐとなりで准くんの優しげな瞳がきらめいていた。

「お……おはよう、准くん」

 ひとつのベッドで寝ている事実にドギマギしながら、ここはどこだったっけ――と必死に記憶を辿る。
 ……あぁ、そうだ。大学のそばにある、准くんが住むマンション。
 昨日、彼とデートしたあと、帰るのが惜しくなって、そのまま泊まらせてもらうことになったんだ。
 付き合って二ヶ月目。
 お互い好き同士なわけだし、ひとつしかないシングルベッドで寄り添っていたら、触れたくなるのは当然で――私はなにからなにまでを准くんに委ね、心だけでなく身体ごと愛し合ったのだ。
 ――昨夜の一部始終が頭を過って、どうしようもなく心臓が高鳴る。

「……なんか、照れるね」

 きっと准くんも似たようなことを考えていたのだろう。
 言葉通り、照れくさそうにつぶやいた。

「うん……照れる」

 妙に肩がスース―するのは、一糸まとわぬ姿で眠ってしまったからだった。
 慌ててシーツを引き寄せ、胸の上まで覆う。
 ……いちどは見られてしまったあとでも、明るい場所ではやはり恥ずかしいものだ。

「まだ信じらんないよ。碧ちゃんが俺の彼女になってくれて――その、こうやって、家に泊まりに来てくれる関係になれたってこと。うれしすぎて、ヤバい」
「私も」

 マッシュヘアの似合う准くんは、二重の目と高い鼻の際立つ整った顔立ち。
 うれしそうに笑うと、もともと彼が持っている親しみやすく柔らかい雰囲気が増して、男性なのにかわいいな、と思う。
 ……今さらだけど私、この素敵な人の彼女なんだよなぁ……。

「そういや聞いてなかった気がするけど……告白、OKしてくれたのって、どうして?」

 なんだかまだ信じられない気持ちでいると、准くんが右側のお腹を着けるように横向きに体勢を変え、肘枕をしながら訊ねた。
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