ラブ・ジェネレーション

ここに来るのは初めてじゃなかった、
レトロな自販機が有名で遠くからそれを目当てに訪れる人もいる、

口に出しては言えないようなエッチなガチャもあって、私も高校時代に友達と興味本位に何回か訪れたことを覚えていた、その時の景品は頑丈に梱包して、(さわるな危険)と書いて今も押し入れの奥にしまったままだ。
みんな興味はあっても、いざ現物を目の前にすると引いてしまう、互いに押し付けあって何故か最終的に私の手元に落ち着いてしまった、
私が死ぬまでに処分しないといけない頭の痛い問題だった。


店内に入ると作業着姿のトラック野郎の視線が一斉に私に向けられる、

いやいや、皆さんが注目するようなアイドルじゃありませーん、何処にでもいる平凡な女子大生です、
と思いながらも普通の女子大生はこんな時間にこんな場所には居ないと気づいた。

目が合わないよう視線を泳がせてターゲットを探す、

見つけた、、よりによって一番奥の席かー、

纏わりつく視線の間を、まるで映画館の上映中にやむを得ず席を立つ観客みたいに片手で拝みつつ、店の一番奥の席でうつ伏せのまま身動きしない翔琉の向かいに腰を下ろした。

頭を突っついて生死を確認する、

「おーい翔琉! 生きてますか?」
ゆっくり顔を上げた翔琉の目は、酒のせいかどこかの演歌歌手みたいに細く垂れていた。

「結衣……夢か?」

「夢じゃありません、あんたが呼んだんでしょ」

寝ぼけているのか、ちゃんと聞こえなかったのか、
ふたたびテーブルに突っ伏した翔琉は、まるで幻でも見たかのように独りごちた。

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