ラブ・ジェネレーション

「翔琉、コーヒーでも飲もっか……」
「お願いしまーす、もう喉がカラカラ、なんでもいいから飲みたーい」

はいはい、子供みたいに言うな!
甘えたり、大人びたり、天然キャラみたいに振る舞ったり、昔から翔琉は見ていて飽きない。

翔琉はブラックが好きだ、私は微糖、高校生の時はもっと甘いカフェオレを好んで飲んでいたっけ、


暑い夏が終わりやっと秋かと思ったら、あっという間にめっきり寒くなった、

尾崎豊が歌っていた、100円玉で買えるぬくもり、
今は100円では買えないけれど、寒い時期にはこの一本の缶コーヒーが母親の胸の中みたくありがたい。

「はい、酔い覚ましにどうぞ」

「おー、ありがとーママ」
そのキャラは嫌です!

缶コーヒーを受け取った翔琉は、頬に当てがってその温もりを確認すると、プルトップを引いて一気に飲み干した。ところが信じられない一言、

「うーん、やっぱり冷たいのがいい」

「ゴクゴク美味しそうに飲んでから言うな!」
「でも、あったかいと余計に喉が渇くだろ、、」

「先に言ってよ!」
そんなにお酒を飲んだことないから知りません!

もう一度車を降りて冷たい缶コーヒーを買う羽目になってしまった、

「もう文句言わないでよ」
冷たい缶コーヒーを同じように翔琉の頬に当てがって念を押した、

「冷たいって! ゾクってするだろ」

「はははっ、わがまま言うからだよ」

懐かしいその怒った顔を横目に見ながら、再びラパンちゃんのハンドルを握った。

翔琉は変わっていない……、私も変われないでいる、あれから二年も過ぎたのに別れた時のままだ。

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