怖い部屋-やってはいけないことリスト-
1日目はちゃんと掃除もされているようで、お湯をためるだけでよかった。


「さっきおじさんが晩御飯の差し入れをくれたよ」


リビングへ戻ると、和也が玄関の前に立っていた。
その手にはハンバーグの乗った大皿がある。


「わぁ、おいしそう!」


ラップの下のハンバーグはまだ湯気を立てていて、作りたてなのだとわかった。


「でもどうして? 食材はたくさんあるのに」

「おじさんの、お母さんがたくさん作ったから持ってきてくれたんだって。家が近いんだと思う」


近いと言ってもここは山の中だ。
わざわざ持ってきてくれたということは、宿泊者のために余分に作ってくれたということだろう。

夕飯を作る手間の省けたふたりはすぐに食卓につき、食事が終わるころにはお風呂もたまっていた。


「じゃあ、私先に入るね」


お風呂の準備をする亜希を見て、和也がなにか言いたそうな表情を浮かべた。


「なに?」

「いや、あのさぁ……」


和也の視線がテーブルへ向かう。
< 20 / 126 >

この作品をシェア

pagetop