怖い部屋-やってはいけないことリスト-
☆☆☆

ふたりが部屋を出て歩き始めると、まもなく雪が振り始めた。
チラチラと舞うように空から落ちてくる雪に亜希は足を止めて空を見上げた。

雪の塊は大きくて、頭や肩に乗っても簡単には溶けない。
こんな雪が振り続けるのだから、スキー場ができることにも納得がいった。


「すごいね雪。なんだか舐めたら甘そうに見える」

「そうか? 暖かそうには見えるけど、でも実際は冷たいんだよな」


普段から雪に馴染みのないふたりはああだこうだと言い合いながらのんびりと歩く。
しかし次第に寒さは強くなり、雪の量も増えてきた。

売店に到着した頃には、周囲の音と色をかき消してしまうように雪が降り続いていた。


「いらっしゃい」


12畳ほどの小さな売店にいたのは50代後半くらいの女性だった。
女性はカウンターからこちらを確認してニッコリと笑う。

ふたりは軽く会釈をして売店の中を見て回った。
亜希はさっそくめぼしいお菓子を手に取っていっている。

和也は雑誌狭いコーナーで漫画雑誌を選んでいる。


「今日はすごい雪ね。積もったら、たくさん遊べるんじゃない?」


会計のときにそう声をかけられたので、亜希は頷いた。
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