幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 どうにかして鏡花の瞳に映りたくて、勉強もスポーツもなんでも一番になった。
 負けず嫌いな鏡花はきっと俺を無視できなくなるはず。ムキになって悔しがる姿がかわいくて仕方なかった。

 素直で正義感が強くて負けず嫌い。そして、愛情深く家族思い。ドのつく鈍感ぶりには悩ませられることもあるけど、成長する毎に惹かれる気持ちは強くなっていった。

 鏡花の関心が俺だけに向けられるように仕向けた上で、鏡花に近づく男は影で排除してきた。

 やっと俺だけのものになったんだ。
 誰にも譲らない。


「あともう少しなんだ……」


 短冊に書いた決意が現実になるまで、誰にも邪魔させない。

 RRrrr……

 その時、スマホの着信音が鳴った。鏡花からだった。


「……もしもし」

『あっ那桜?大丈夫?起きてた?』


 声を聞くだけで愛おしさが込み上げる。


「起きてました。さっき薬飲んだところです」

『そっか、よかった』

「そっちは大丈夫ですか?」

『あ、悠生?悠生は大丈夫。まだちゃんと話せてはないけど……』

「そうですか」


 あの番犬にはいずれバレるだろうとは思っていた。いつも俺のことを警戒していたし。


『もう無茶しないでね。ほんとに見ててハラハラしたんだから』

「心配してくれたんですか?」

『当たり前でしょっ』


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