幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 パパはこれまで見たこともない程の怒りを滲ませていた。例えるなら、鬼のオーラとでも言えばいいのだろうか。


「パパ……」

「染井は桜花の敵だ。お前を貶めるためにお前を利用しているんだ」

「那桜はそんなことしないよ!!」

「お前に何がわかる?染井と桜花は長年敵対してきた。二組が交わるなどあり得ない!!」

「そんなのわからないじゃない!!今まではそうでも、これからは違うかもしれない!」

「黙れ!!」

「っ!」

「お前が考えている程甘いものじゃない。子どものお前にはわからない」


 パパ……。


「組員たちが納得すると思うか?お前たちのことを許せると思うか?血気盛んな連中だ、染井に喧嘩を売る奴もいるかもしれない。
そうなった時、お前はどうするんだ?」

「わ、私が止める」

「お前に止められると思うのか!?」


 パパの剣幕に私は言い返せなかった。


「お前は甘い、甘すぎる!何もわかってない!」


 怒号を浴びせた後、パパはグイッと私の腕を引っ張り部屋を飛び出す。そのまま強引に引っ張られ、私の自室に放り込まれた。


「パパ……!」

「しばらくスマホは預かっておく」


 いつの間にか私のスマホはパパの手の中にあった。


「もうあの男とは会うな。連絡もするな」

「そんなのやだ!」

「別れるまで家からは出さない」


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