幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 私が勝手に身代わりになったんだ。
 八重は毒舌なところもあるけど、他人を貶めるようなことは絶対にしない。

 大人びているのは周りのことをよく見ているからだし、何だかんだで優しくて友人思いで、姫と呼ばれるに相応しい。


「私の親友を悪く言うな!!」


 何も知らないやつらに好き勝手言われる筋合いはない!!


「親友?ヤクザと警察なのに?変わってるなぁ」

「あんたたちには関係ないでしょ!!」

「まあいい。とりあえずお前をダシにして満咲を脅すことはできそうだな」

「っ!」


 黒スーツの男はギラリと光る鋭いナイフを取り出し、ペロリと刃を舐める。爛々と光る狂気じみた目の色にゾッとした。

 流石にヤバい……!!

 ナイフが振り上げられ、思わず目を瞑った。

 ビリビリビリビリ!!
 ナイフは私の制服を上から真っ二つに裂き、下着を露わにさせた。


「妙なことすんなよ?拡散されたくなかったらな」


 子分の男が私の姿をスマホで撮影する。
 
 こいつら、クズだ。
 こんなやつに八重が捕まらなくてよかった。


「にしてもお前、見れば見る程いい女だな」


 嫌らしい視線を向けてくるこの男の目を潰してやりたい。縄さえ解けたら、こんなやつ一発K.O.なのに……!!

 男の手が私に向かって伸びてくる。
 気持ち悪くて、全身に鳥肌が立って思わず目を背けた。

 誰か助けて……!!


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