スイートルーム
「まぁ、約束したもんはしかたないけどさ。早々に切り上げて帰ることだな。もし彼女が戻ってきたら、こっちで引き止めて、おまえの携帯にメールするから」
ポンポンとあたしの頭を軽く叩いたあと、市来くんは業務に戻った。
今夜、プロポーズするはずだった彼……。
なのに、
『俺が無理だから』
そう呟いたのは……。
本音?
それとも、衝動的な感情?
悶々としながら、あたしは彼の待つ地下の居酒屋へと向かった。