相思相愛・夫婦の日常~カケ♡サト編~
自慢の奥さんとワガママな翔琉
季節が夏に入った頃。

「━━━カケくん」
「んー?」

「少しだけ、離れてくれない?」
「やだ!」
「でも、暑い…」

休日の昼。
二人は、リビングでテレビを見て過ごしていた。
ソファに並んで座り、翔琉が里海にぴったりくっつき腰を抱いている。

クーラーは入っているが、隙間のないくらいにくっついているため暑苦しいのだ。

「クーラーの温度、下げようか」
翔琉がリモコンを取り、設定温度を下げる。

「でもあんまり下げると、クーラー病になっちゃうよ?」
「身体を冷やさなきゃいいでしょ?
はい!もっと、ギューってしよ?」
「うん/////」


「━━━━カケくん、お腹すかない?」
「そうだね」

キッチンに向かい、冷蔵庫の中を見る。
「……って言っても、何もないんだよね…
お買い物行かなきゃ!
今から出て、何処かで食べてお買い物しよ?」

「え?外食するの?」
「うん。嫌?」

「うん、出来ればサトちゃんの料理食べたい!
どんな簡単な物でも構わないから!
サトちゃんの手作りがいい!」

翔琉は、外食やテイクアウト、インスタント、冷凍食品など……里海の手作り料理以外を口にすることを嫌う。
里海としても、そう言ってもらえるのは嬉しいが、冷蔵庫の中にはミネラルウォーターや調味料位しかなく、すっからかんだ。

「でも、見て。
びっくりする程、何もないの……(笑)」

「ほんとだ(笑)」

「あ!オムライス食べに行こ?
だったら、カケくんも好きでしょ?」

「は?
“サトちゃんの作った”オムライスが好きなの!!
サトちゃん以外の…しかも、オムライスなんて絶対!口にしたくない!」

“ワガママだなぁ”と思いながら、里海は考える。
「じゃあ、ざる蕎麦食べに行かない?
課長が美味しいよって教えてくれたの!
今日は暑いし、食べたい…な…?」
窺うように翔琉を見上げ言う。

「………いいよ」
「ほんと!?ありがとう!」

「うん。サトちゃんが食べたいなら、行く」
「じゃあ、準備するね!」

パタパタとクローゼットに向かう里海を見送りながら、翔琉は口元を手で押さえて顔を真っ赤にした。

「あの顔、可愛すぎ!!/////
はぁ…ほんと、僕のサトちゃんは可愛くない時がないから苦労する……」

里海は知らないうちに、いつも翔琉を翻弄しているのだった。
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