紳士な若頭の危険な狂愛

第一章 危険な香り


「なんで知らない人がいるのかな?」

目の前の男は笑顔を浮かべているようで、机の下で貧乏揺すりしているところから苛ついているのは明らかだった。
今いるのはファミレス。それも夜の十一時過ぎ。
高校時代の友人である美香から頼まれ、私、市谷綾菜(いちたにあやな)は美香の隣に座っていた。

「最上さん、独立するための費用が100万ほど足りないって本当、なの?」

いつも快活な美香がおどおどと尋ねる。
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