【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった


「猫の鳴き声が聞こえた」


「また~? 氷柳(ひりゅう)がお坊ちゃんとは言え、そんなに拾ってばかりだと家が動物で埋め尽くされるぞ?」


「たまには里子に出してるから大丈夫だ」


「手元に置く数が多すぎなんですけどー?」




軽い調子の声を聞き流して、見つけ出した捨て猫の元へ近寄る。

ポケットから袋を取り出して、キャットフードを少し落としてやると、瘦せ細ったぶち猫は貪るようにそれを食べた。




「今日は帰る」


「はいはい。ほんと世話好きだよなぁ。……あ、でも待って、俺今日めちゃくちゃ絡まれる予定なんだけど」




ぶち猫が食事を終えたのを見計らって、段ボール箱を抱え上げる。




「ならお前も来るか?」


「うわー、氷柳様ってば懐がひろーい。そうするそうする~」
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