【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった


「んがっ……おい、俺の酒をどこやった!」


「今、持っていくよ」


「早くしろぉ!」




ブン、とティッシュ箱が飛んでくる。

運悪く顔に当たったけど、比較的重量が無い方だからそこまで痛くはなかった。

近くに無いと怒るから、後でテーブルに戻しておかないと。


私は床に落ちたティッシュ箱を拾い上げて、冷蔵庫に早足で向かう。

食費やその他を切り詰めてでも、常にストックを必要とするお酒は、いつも通販で買っている。

対面のように、年齢確認で止められることがないから。



冷蔵庫の一段をずらっと占領している中から、焼酎の瓶を1本抜き取ると、私はまた早足でリビングに戻った。

まず父の前に焼酎を置いてから、すぐさま蓋を開ける様子を視界に収めつつ、テーブルの端にティッシュ箱を置く。
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