【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった


あぁ、来た。

私の学校生活の行く末を握る女王、姫田(ひめだ)さん。

クラスでも、学年単位でも目立ち、カースト上位に立つ女子生徒。


ぷんと漂う香水はフローラルの香り。

長い茶髪を指に絡めて遊びながら、猫のような目を三日月形にして近付いてくる。




「ねぇ、あたし暇なの。なんか面白いことやってよ」




……これは、ツイてない。

どんな無理難題でも、具体的な指示があればそれをするだけでいい。

醜態を晒して笑われたって、私のやるべきことはたったひとつだ。


でも、こういう要求は何をしても満足されないことがほとんど。




「……はい」




体が大きく動かないように、肩を固定してこっそり深呼吸をした。


まず、何かする。

その後に怒られて、もっとこうしろと要求される。

それからは要求に従っていけばいい。
< 3 / 35 >

この作品をシェア

pagetop