妖しく微笑むヴァンパイア



 ヴァンパイアになってから、心なしか璃斗の性格も変化したように思える。

 以前はこんな積極的に触れてきたり、欲望を露わにしたり。
 強引にキスなんて絶対しない誠実で優しい人だった。

 もしもこれがヴァンパイアになったことによる変化なら、
 そうしてしまった由良にも責任はある、とは考えるが――。



(どうしろっていうのよ……)



 今まで人を好きになったことも付き合ったこともなかった自分は、
 恋人関係とは?から調べなくてはいけない経験値。

 でも自身の「ヴァンパイアの末裔」という負い目を感じなくても良くなったのは、
 今の璃斗が“ヴァンパイア”だからだろう。

 つまり、ヴァンパイア同士の恋愛が璃斗とはできるわけで、
 そう思うと心臓がドキドキと躍るのを自覚した。



「そ、そもそも璃斗くんに“好き”って言われてないし」
「え?」
「私は、言ったのに、一応……」



 由良が口先を尖らせて不満そうに呟くと、隣に座る璃斗は目を丸くして驚く。



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