妖しく微笑むヴァンパイア



 こんなに喜ばれるとは思っていなかった由良は、
 呆気に取られながらも悪い気はしなかった。

 でも、ここにいる二人はまだ知らない。



「璃斗くんどうするの? この状況……」
「いいじゃん、俺たち両想いなんだから。それに――」


 そうして耳打ちしてきた璃斗が、ニヤリと口角をあげた。



「お互いヴァンパイアなんだから」
「ッ⁉︎」



 微かに姿を現した真新しい牙が、何よりの証拠。

 囁かれた耳を押さえ、またしても顔を赤く染めた由良は、
 翻弄されていることを自覚して悔しい表情をする。



 そう、わたしたちには秘密がある。

 このご時世になかなか信じ難いが、正真正銘のヴァンパイア。
 その血を引く者同士のカップルということ。



「そんな顔もすごくそそる……」
「そういうこと言わないでッ」



 ただ、今のところ。
 問題は無しのよう……






 fin.





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