ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
猛る狂気/その9
アキラ



「まずさ…、今日、麻衣には今後一切、オレ達に関わらないことを誓わせてきたよ。もうこれっきりだと。これから麻衣がたとえ、どんな目に遭おうが、オレたち二人の知ったことじゃないって突きつけた。警察から帰って、あの女とはっきりケリつけた後で、ケイコちゃんと会いたかったんだ」

「アキラ…」

「それで、病室でヤツのお母さんと会ってね。勢いで、もうお母さんを泣かせるようなことはやめろって。これも、含みは持たせていたけど、わかったというニュアンスで答えてた」

「ああ…、そんなアキラのこと、私、植木ばさみで…」

またケイコちゃんが取り乱しそうだ

オレは彼女の手を握って言った

その手、既にちょっとだけど震えてたよ

「ケイコちゃん、もう昼間のことは忘れるんだ。ねっ!」

彼女は「うん」と言って、ゆっくりとうなずいた


...



「よし、今日の件はこれでおしまい‼…とにかく、あんなことがあって、お互い話すことは山ほどだけど、最初に言うよ!大阪のオーディション行けなかったこと、それに麻衣と剣崎さんの条件、勝手に飲んじゃったこと、許してくれるかい?」

「許してもらわなきゃいけないのは私だよ!私と出会ってなきゃ、アキラはプロデビューして、今頃はあの人と…」

ここでまた彼女は涙を流した

当分の間はこうなるよな、どうしても…

なら…、じっくり行こう

変に急がないことだ


...



「ケイコちゃん…、オレはね、あの千葉の海で、とびっきりの”陽射し”と出会ったんだ。そんで…、千葉から戻って、その”陽射し”とは再び巡り合った。そのとびっきりの”陽射し”はすごいんだ。夜でも建物の中でも、オレを照らしてくれてる。トイレでもね…」

ここまで話すと、ケイコちゃんは俺の肩に頭をもたげてきた

手は依然、握りあったままだ

最も震えは止まっていたが…


・・・


「…とびっきりの陽射しをもらったオレは、勇気が湧いてきた。おかげで、オレは一歩を踏み出せた。その、”オレだけ”の陽射しちゃんは、今、厚い雨雲に覆われてる…。いっぺんには無理そうだけど、オレが戻ってきたからには、そのぶ厚い雨雲を取り去るぞ。もし、陽射しちゃんも手伝ってくれるんなら、早く”元通り”になると思う」

「ふふっ…」

ここで陽射しちゃんのささやかなこぼれ笑いの声が、高台の夜景にこだました

「おっ…?さっそく少し陽が覗いたかな。陽射しちゃんは頑張る気持ちらしいや」

「アハハハ…」

今度は本格的な笑い声が出たぞ


...



この後、二人は夜7時近くまで展望公園で一緒にいた

オレ達二人が話さなければならないことは、まだまだたくさんある

続きは明日、お昼をどこかで食べながらでということで、今日は家の近くまで送った

「…アキラ、明日待ってる。おやすみ。今日はありがとう!…ホント、ありがとう…」

「おやすみ。ゆっくり休んで。じゃあ、明日…」

長い一日だった

ケイコちゃんとオレにとっては、忘れらない日になるだろう…

そう願わずにはいられないよ

俺たちの…、カコクな長い夏の、懐かしき足跡として…



ーヒートフルーツ全編版/第1部、完ー




注釈:ここまでが、『本編』基軸ストーリーの第1部に該当する物語となります。
これより第2部では、大幅加筆後のストーリーに移行しますが、本物語一年前の出来事を前日譚とした続編的な展開になり、そこで『麻衣ロード、そのイカレた軌跡』で登場した懐かしい面々が一気に再登場します!!


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