卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「な、何で知ってるの」
「よく携帯見て、悲しそうにしてたから・・・」
そうだ。思い出した。
そう言えば、北見くんには、寂しい気持ちを言ったような気がする。
「・・・もっと早く気付けばよかったのにね。嘘つかれてたの」
「先生・・・」
「ご、ごめん、ちょっと外に出てくる」
私は、思い出して涙が溢れそうだった。
もう、忘れたはずなのに・・・
北見くんには、心が解放されて何でも言ってしまう。
夜空を見ながら、深呼吸すると、涙がこぼれ落ちた。
「奈菜先生」
振り向くと北見くんが微笑んで立っていた。
「泣き虫は変わんねぇな」
私の涙を指でなぞって、
「泣けよ。泣いて泣いて、もう忘れてしまいなよ」
そして、大きな手で頭を撫でた。
私の溢れ出る涙は、しばらく続き、北見くんはただ黙って、傍にいてくれた。
「ありがとう。もう大丈夫だから」
「じゃあ、先生、俺、そろそろ帰るね」
「うん、気を付けてね。ごめんね。せっかく再会しても、頼りない先生で」
「もう、先生と生徒じゃないよ。男と女だから」
「えっ?」
「また来るから。泣く時は俺の前だけにしろよ」
北見くんは私の腕を引っ張り、胸に引き寄せた。
「他の男にそんな顔、見せるな」
背中に回った手が熱い。
「北見くん・・・」
「じゃあ、帰るわ」
頭をポンポンとしたあと、車に乗り込む時に手を振って、北見くんは帰って行った。
「男と女って・・・」
急にさっきの事を思い出し、顔が火照ってきた。
北見くんの放つ言葉を、昔は流せたのに、流せなくなってる自分に気がついた。
北見くんに引き寄せられた腕の中の暖かさ・・・激しく打つ鼓動・・・
あの頃は、先生と生徒という、心に壁を作っていた。
でも、今は違う。
先生と生徒じゃないんだ。
私、北見くんを1人の男性として意識し始めてる。
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